イベント情報

12日間にわたる政策立案コンテストの、決勝プレゼンテーションが9/4に行われます。現在Youtubeでの無料観覧を募集中ですので、ぜひ学生たちの議論の結晶をご覧ください!

学生団体GEILは2021年6月26日(木)から27日(金)、オンラインにて2日間の政策立案コンテストを開催いたしました。
ミッションは、「プラスチックごみ問題における環境負荷を低減する政策を考案せよ」。全国から同じ関心を持つ40名の学生が集まり、議論を通して社会問題について考え抜きました。
【2days GEIL 2021 開幕】
全国から集まった40名の参加者による議論がいよいよ始まります!
GEILスタッフは2日間全力で皆様をサポートします! pic.twitter.com/pEetpwWzYQ

— 学生団体GEIL (@waavgeil) June 26, 2021

課題文

<プラスチックによって生じている環境負荷>

 現在海に存在するプラスチックごみの量は約1億5000万トンにのぼり、さらに毎年約800万トンのプラスチックごみが新たに海に流出している。800万トンという量は、東京スカイツリー222基分や、ジャンボジェット機5万機分に例えられる。プラスチックは自然界で分解されづらいため、その多くは数百年以上もの間、海洋中に残り続ける。 

世界経済フォーラムは、「このままのペースでプラスチック生産量が増え続けた場合、2050年には海にいる魚すべての重量より、プラスチックの方が重くなる」という衝撃的な予測を発表した。 中でも話題を集めたのが、マイクロプラスチック問題である。劣化して5mm以下になったプラスチックを、マイクロプラスチックと呼ぶが、これらは有害物質を吸着する性質を持っており、海の生態系、そして私たちの健康に悪影響を与えうるとされている。 

<プラスチックごみ問題と日本> 

 海洋プラスチックでプラスチックごみ問題は世界的に有名となったが、日本特有の問題点も多くある。主なものを3つ紹介したい。 

1つ目は、プラスチック包装廃棄量が非常に多いことである。国連環境計画の使い捨てプラスチックに関する報告書「SINGLE-USE PLASTICS」によると、日本は国民一人当たりのプラスチック包装廃棄量が世界第2位である。日本の過包装とも言える包装文化が、必ずしも必要でないプラスチックの生産を促し、結果としてプラスチックの廃棄量を増加させている。 

2つ目は、廃棄物埋立処分場の不足である。環境省によると、日本の廃棄物埋立処分場の残 余年数は2017年時点で、16年程度しかない。もともと日本の国土面積が大きくないことも一つの 要因ではあるが、2017年に中国がプラスチックごみの輸入を全面的に禁止したことも廃棄物処 分場の問題に拍車をかけていると言えるだろう。 

3つ目は、プラスチックのリサイクルに関してである。2019年時点で、使用済みプラスチックごみのリサイクル率は84%と非常に高いが、そのうち56%はサーマルリサイクルによるものである。 サーマルリサイクルとは、焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用するリサイクル方法のことを指すが、EU諸国ではリサイクルとしてみなされていないことが多い。サーマルリサイクルが一概に悪いと断定することはできないが、焼却の際に二酸化炭素などの温室効果ガスを発生させていることも確かである。 

<プラスチックをどうとらえるか>

 ここまで述べてきたように、環境負荷の文脈で考えたとき、プラスチックは地球環境を汚染する 「悪者」として扱われることが多々ある。しかし、プラスチックを悪であると断定し、完全に排除することは現実的ではない。試しに、部屋を見回してみてほしい。プラスチックは、容器包装、パソコ ン、文房具、洋服、化粧品など、身の回りのあらゆる製品に用いられている。プラスチックを全く用いない暮らしなど、想像できるだろうか。特に、昨今のコロナ禍において、衛生を保つという目的のためにプラスチックはその能力を発揮している。食品や医療の場で、プラスチックは大活躍していると言えるだろう。 

プラスチックの特長としてよく知られているのは、軽い、強い、加工しやすい、などである。それ以外にも、象牙など希少な原料をプラスチックで置き換えることで、生態系の保護につながる場合がある。また、本来ガラス瓶に入れられていた飲料をペットボトルに入れて輸送することで、割れにくくなり、輸送に必要なガソリン等のエネルギー使用量を抑えられ、結果的に二酸化炭素排出等の環境負荷を低減することにつながる場合もある。数ある素材の中で、プラスチックがここまで私たちの生活に浸透したことには、理由があるのだ。 

<循環型社会とプラスチックごみ問題>

 循環型社会では「適正処理の更なる推進と環境再生」と「ライフサイクル全体での徹底的な資源循環」を通して、地球の様々な物質のサイクルに影響を及ぼすような、大量生産・大量消費・大量廃棄を改善することが目指されている。この循環型社会実現のためのプラスチックごみ問題の解決には、消費されたプラスチックを確実に回収したのち「適正処理」し、またリサイクルの促進などによって「徹底的な資源循環」を図ることで環境負荷を低減する必要がある。 

一方で、適正処理や資源循環のみに着目して対策を考えるだけでは、根本的な環境負荷の低減には必ずしもつながらない。プラスチックの「ライフサイクル全体」を俯瞰し、生産者による容器包装プラスチック自体の生産抑制やリサイクル容易な素材での商品の開発、消費者による余分なプラスチックの消費抑制など、使用されて「ごみ」となるプラスチックの量自体を削減する考え方も必要となってくる。 

<立案するにあたって>

 プラスチックごみ問題を考えるにあたって、プラスチックがどのように環境負荷を引き起こしているのかをきちんと見極めていただきたい。ここまで述べてきたように、「プラスチックごみ問題」と一口に言ってみても、生態系、景観、埋立処理など様々な領域を横断する問題である。そのことを踏まえた上で、目指すべき理想状態とは何なのか、チームのメンバーと共有した上で手法を考えてほしい。 

また、プラスチックごみ問題によって引き起こされる環境問題はあくまで数多くある環境問題の一つでしかないということも念頭に置いて議論していただきたい。プラスチックごみ問題の解決策が、新たな問題の種となってはいないだろうか。視野狭窄に陥らず、環境問題を俯瞰的に見た上で、今回のMissionに臨んでほしい。 

Mission

 「プラスチックごみ問題における環境負荷を低減する政策を考案せよ」
 
課題文を元に政策が立案され、2日目に各チームの発表と審査が行われました。
閉会式後は懇親会が開催されました。チームの垣根を越えた雑談や、立案の感想を共有するなど、貴重な時間を過ごしました。

現在、夏に開催いたします「学生のための政策立案コンテスト 2021決勝プレゼンテーション」観覧者を募集中です。全国の大学生・大学院生の12日間に渡る議論の結晶をご覧ください。
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