今夏8月23日から行われる「学生のための政策立案コンテスト2020」6日目に、早稲田大学准教授松岡亮二様による特別講演の開催が決定いたしました。今回はコンテスト開会に先立ち、松岡様より応援のお言葉を頂きました。

本人に変えることができない初期条件である出身家庭の社会経済的地位や出身地域といった「生まれ」によって学力や学歴といった結果に差があることが「教育格差」です。心情的には人生を自由に切り開くことができるという物語を信じたいところですが、「生まれ」と教育結果の関連は戦後日本に育ったすべての世代・性別で確認されてきました。

 データで「教育格差」という実態と向き合うと、自分にできることなんて何もないんじゃないか、と感じるかもしれません。少なくとも私は『教育格差(ちくま新書)』を執筆する過程で、何度も虚無感に襲われました。編集者や研究者仲間の助言と励ましがなければ書き上げることはとてもできなかったわけですが、この点、GEILの政策立案コンテストは、4人1組のチーム制に加えてスタッフの支援という、難題に取り組むための好条件が揃っています。課題の難しさに直面して投げ出したくなったとしても、お互いに励まし合いながら現実と理想の狭間で悩んだ上で実現可能性のある政策を言語化する、という素晴らしい機会になるはずです。

 教育格差に対する政策を考えることは、そのまま拙著7章のタイトルである「わたしたちはどのような社会を生きたいのか」という問いと向き合うことを意味します。もっともらしい「何もしない・できない」理由を並べ肩を竦めて冷静さを装い現状を是認するのではなく、仲間と共に汗水垂らして徹底的に考え抜いた政策提案を期待しています。

 

プロフィール

松岡亮二(まつおか・りょうじ)

 

早稲田大学准教授。ハワイ州立大学マノア校教育学部博士課程教育政策学専攻修了。博士(教育学)。東北大学大学院COEフェロー(研究員)、統計数理研究所特任研究員、早稲田大学助教を経て、同大学准教授。日本教育社会学会・国際活動奨励賞(2015年度)、早稲田大学ティーチングアワード(2015年度春学期・2018年秋学期)、東京大学社会科学研究所附属社会調査データアーカイブ研究センター優秀論文賞(2018年度)を受賞。著書『教育格差:階層・地域・学歴(ちくま新書)』

https://www.amazon.co.jp/dp/4480072373/ )は、1年間に刊行された1500点以上の新書の中から「新書大賞2020(中央公論新社)」で3位に選出された。

 

 

現在、夏に開催される「学生のための政策立案コンテスト2020」の参加者を募集中です。

全国の大学生・大学院生のみなさま、ぜひご参加ください。
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