若者と行政職員のDX時代を考える勉強会概要
テーマ「DX時代の情報活用~課題解決の具体的取り組み~」
主催:次世代社会研究機構及びGEILのOB・OG・現役メンバー
日時:2023年12月25日(月)
<講師>
相原建郎(東京都立大学 都市環境科学研究科 観光科学域 教授)
丸山敦生(北海道大学 データ駆動型融合研究創発拠点 特任助教)
勉強会の様子
相原様からは、「情報分野から見た『観光』とデータの活用」と題してご講演いただきました。需要は変動する一方サービスの提供は固定的である観光において、DXの活用が重要である理由や観光行動の具体的なデータの分析方法、その活用例などについてお話しいただきました。一点豪華主義になりがちな観光に対し、訪問者と受入側の双方の視点で問題を考えることができました。また、観光に限らずデータの分析においては、データの収集や前処理が大切であり、情報リテラシーや論理的思考、知識が不可欠であるというお話しが印象的でした。
丸山様からは、「DX/AI時代に必要な人材とは」と題してご講演いただきました。日本のDX活用の現状や、DX化するために必要なこと、そのような時代に求められる人材とは何かについてお話しいただき、講演の最後にはDXのデモンストレーションも行いました。DXの時代に求められる人材とは、問題解決ができる人とありました。AIを活用し生活をしている私たちは、時代の変化に適応するために問題解決の思考を普段からトレーニングする必要があると感じました。
学生の感想
相原様からのお話では、観光とは、合理性を逸脱し、未知なる場所、状況に身を置いて楽しむ営みであり、その時の心理状態などによって行動が変わるため、観光客の行動は予測のつかないものでもある、という説明が印象的だった。観光地、もしくは観光地としての振興を狙っているような地域は、刻々と変化する需要に敏感に応じたサービスの供給をDXを用いて促進すること、地域の魅力にグラデーションをかけて、人気の観光地にばかり頼らないことが重要であると学んだ。また、最新のデータの回収方法のご紹介もあり、特に携帯電話を使って位置情報の取得や滞在時間の計測、身体的な反応、細かい人の動きからどのようなサービスが好まれるのか、求められるのかを推定し、さらに細かいニーズに対応できるようになる、というものであり、画期的な利活用方法だと感じた反面、プライバシーの問題も表裏一体でついてくるため、運用には注意しなければいけないと感じた。そして自動車の走行情報のビッグデータ活用によって、災害時の応急復旧、緊急輸送等に活用されていることもとても印象的だった。データの収集も大事だが、それらを目的に応じてどのように活用するのかがより重要であるということを再認識させられるお話だった。丸山様からのお話では、DX化に遅れる日本の現状が印象的であった。そもそもデータ収集が始まっていない、紙媒体でのデータ記帳のため保存や検索、情報共有がしにくい、業務プロセスが自動化できていない、企業や組織が生き残るためのビジネスモデルの変革ができていないなど、国内では様々な段階でDX化が進んでいない現状が散見された。このような中で必要なのが、自らを変革できる人材である。毎日の実践の中で問題解決できる人がこの先企業や組織を守り、成長させるリーダーになっていく。今現在オープンAIの成長は目覚ましい。人間にしかできないことも多分にあるが、情報処理に関してはAIの方が圧倒的に優れている。この力を用いて、どのようなデータをどのように集め、その集積されたデータからどのようなことを読み取り、社会を変える糧とするのか、その動向はいまだ我々人間にかかっていることなのだと深く再認識させられる内容であった。(中央大学法学部1年)
観光において「空いている」ということはむしろ強みになりうるというお話は腑に落ちました。また移動手段の多様化によって、地方の観光がより容易になっていることも、聞いてみると確かにと思うのですが、都会で運用されているイメージが強く、自分の中で結びついていませんでした。このように今ある技術を今まで活用されてこなかった分野に応用することで劇的に変えられることも多いのではないかと思いました。 また、データの抽出の段階は普段見えにくいものですが、ただのデータの集積をつかえるようにしていくために必要であり、リテラシーやコンピュテーショナルシンキングを育てることの重要性を学びました。(早稲田大学社会科学部1年)
お知らせ
1月30 (火)にも勉強会を開催します。大学生限定でGEILメンバー以外でも勉強会に参加することができます。詳細に関しては参加を希望される方のみに後日お知らせしますので、参加を希望される方は学生団体GEIL公式Xまたは公式インスタグラムまでDMでご連絡ください。
2023年の活動を終えて
2023年の活動を無事終えることができました。ありがとうございました。来年もよろしくお願いします!