2019年2月11日から13日にかけて青森県八戸市にて、経済産業省資源エネルギー庁様(以下敬称略)との共催でWinter GEILを開催致しました。
当イベントはGEIL過去参加者コミュニティ(GEILのコンテストにご参加いただいた方のみを対象に招待している)に所属している学生にのみ参加者募集を行いました。

Mission説明

高レベル放射性廃棄物の最終処分場受け入れについて、
自治体や関係市民から合意を得るための政策を立案せよ。

原子力発電所、米軍基地、ごみ処理施設・・・

事故、治安の悪化などの私的な負担の発生を見込んで忌避しがちな施設が社会には多く存在します。こうした施設の建設をめぐり周辺住民との間に生じる困難をNIMBY(Not in my back yard)という言葉で把捉することがあります。NIMBYとは施設の社会的な必要性は認めるが、自分たちの居住地域には建てないで欲しいという住民の態度を指す言葉です。

同じような問題が高レベル放射性廃棄物最終処分場受け入れ問題にも存在します。原子力発電により高レベル放射性廃棄物の貯蔵量が増加する一方、最終処分場の行方が定まらないまま。電力の消費地として施設の恩恵を多く受ける地域と、施設を受け入れる地域は分離していることから、日本の中で便益と負担を比例的に分配することは極めて困難です。

放射性廃棄物処分において、それ自体が内包する不確実性、そしてネガティブなイメージに加えて、昨今の行政不信等も鑑みると行政が社会的合理性のみを根拠に政策決定していくことは困難です。そこで利害関係者を始め、広く議会を市民に開き、理解を得ていく必要があります。ただしここでの議論は形式的なものではありません。十分な社会調査と市民教育と合わせて個別的な利害や価値観をもつ国民の納得的な自己決定と、日本社会全体での公共的決定とが両立する合意点を探る議論が求められるのです。

プログラム紹介

Day1

開会

 東北新幹線、八戸線を乗り継いで八戸の立案会場に向かいました。過去にGEILのコンテストに参加した学生限定のイベントであったため、コンテスト以来の仲間との再会に話に華を咲かせる人も。

会場である八戸グランドホテルに到着後、資源エネルギー庁放射性廃棄物対策課室長吉村一元様より開会のご挨拶をいただいた後、弊団体ケース局よりMission説明を行い立案が始まりました。

 
2泊3日という短い期間において上記Missionの政策立案をしなければならない。始めは放射性廃棄物処理に関する知識の補充から始まる。GEIL作成資料や資源エネルギー庁配布資料を読み込み、得た知識の共有をチーム内で行いつつ、資料でわからないことがあれば実際に活動をしているNUMO(原子力発電環境整備機構)の職員の方に質問することができました。

ショートセミナー

参加者のケーステーマや政策に対する理解を高めるため、立案時間の途中に「ショートセミナー」と呼ばれる15分程度の講義を行った。原子力政策全体における放射性廃棄物処理について、資源エネルギー庁放射性廃棄物対策課吉村一元様から、高レベル放射性廃棄物高レベル放射性廃棄物処理の海外事例について、原子力発電環境整備機構加来謙一様から、政策広報の重要性について経済産業省土屋省吾からご講義いただきました。

13時から始まった政策立案はショートセミナーや夕食休憩をはさみつつも25時まで行われました。

Day2

日本原燃六ヶ所再処理工場視察

八戸の立案会場を抜け、青森県六ケ所村にある日本原燃株式会社様の放射性廃棄物再処理工場の視察に出向きました。高レベル放射性廃棄物の生じる現場を実際に目にすることで理解を深めました。普段は見学できないガラス固化体の貯蔵現場や、使用済み核燃料の貯蔵プールを見学させていただきました。

住民対話

 六ケ所村での核廃棄物再処理施設誘致における当時の推進派・反対派の住民の方、町役場の方などから当時の様子や心情をお話しいただきました。全体に向けてお話を頂いた後、それぞれブースに分かれ、膝と膝をあわせて当時のことについて詳細にお話致しました。

豪雪の中ご足労いただいた住民の方にGEIL一同心から感謝申し上げます。

2日目の住民対話での実際に政策の影響する現場の方の話を聞くことでそれぞれ新しい気づきを得た参加者一同。

それぞれの想いをチームで共有した後、今までの立案を省みた上で夜の3時を過ぎるまで熱い議論を交わしました。

Day3

政策案発表

3日間のプログラムを通して立案した政策を各チーム発表しました。審査員として、

防衛省北関東防衛局企画部長池田眞様
東北大学名誉教授 北村正晴様
科学コミュニケーター 大浦宏照様

の御三方を迎え、様々な方向から発表された政策案を審査していただきました。各チーム詳細な政策案を発表しましたが、なかでも優勝に選ばれたのはAチーム!

自治体の自主性を尊重しながら、処分地選定に向けて必要な情報提供、議会設計、住民投票を進めていこうとする政策を立案しました。本来、住民内で十分と言えるまで議論を行うことと法的拘束力を持った住民投票を行うことは両立が難しいものです。そこでまず本政策案では最終処分の申し入れから住民投票まで5年間の猶予を設けます。その中で無関心層も巻き込める工夫をしつつ住民対話の場を設計していく計画を通して、納得を得た形で住民投票を行うことを目指しました。また最終処分場のように周囲から忌避されうる施設の受け入れは当該地域だけでなく、周辺地域からの反発も見込まれます。その点については今後の相補的な施策の必要性に言及しつつも、当該地域の主体性を重視する立場をとり、決定性を伴った政策案となっています。

そんなAチームの政策案が気になるかたはこちらからご覧ください。

また、当プログラムの様子を東奥日報様に取り上げていただきました。記事についてはこちらをご覧ください。