東京工業大学講師_河西棟馬先生_勉強会報告

<勉強会概要>

名称:『科学と技術の史的関係』&『PreGEIL mission課題文の推敲』
講師:河西棟馬
日時:’23 3/31(金)@zoom

<勉強会の様子>

河西先生には、ご専門の技術史について、科学-技術の関係が認識論的にも社会史的にもどう変遷していったのかということをGoogle Ngram Viewerを用いるなどして講義して頂いた。また、sience(科学)とart(技術)の二面性を帯びているliberal artの話をして頂いた。
GEILが新歓イベントとして開催する短期型政策立案イベントPreGEILで取り扱う課題文(β版)についての疑問質問や、大学教員当事者としての意見、科学技術政策についての考え、そして有意義な話を伺える人や読むべき課題図書の紹介をして頂いた。

紹介された本:
・デヴィッド・グレーバー,酒井隆史・芳賀達彦・森田和樹訳『ブルシット・ジョブ:クソどうでもいい仕事の理論』岩波書店 2020
・吉見俊哉『大学は何処へ』岩波新書 2021

<GEILスタッフの感想>

PreGEILで扱うミッション課題文のロジック的欠点のご指摘が明瞭で腑に落ちてきた。GEILが目指すものと学者官僚の真似を履き違えているのではないかと思った。自分たちがやりたいこと、変えられることを個人個人が考え切れていないと思った。ご専門の技術史のお話も面白かったが、僕が面白かったのは、経済、社会の為に科学技術政策を打つ省庁、国側の考え方と、単純に知、知的好奇心のために科学技術を研究する研究機関、大学側の考え方は思想信条が異なるため、科研費など紐付けされて研究者たちが研究に時間を割けないという現状の歪さを壊し再構築するためにはどうすればいいか、難しい問題に足を踏み入れたと思った。(早稲田大学基幹理工学部1年)

これまでの勉強会の中で一番「科学」という存在の輪郭に迫るお話が聞けたと思う。GoogleNgramで実際に言葉単位でどの時代からその言葉が勃興してきたかなど、目に見える形でscienceと他の言葉のかかわりが見られたのが面白かった。
特にサイエンスとアートのお話が印象的で、アートが非言語的・非形式的ならば、科学の歴史で深くかかわっている宗教にも繋がっているのかなと思った。
あとは、先生もお話されていたが、研究を行うためにはお金が必要で、でもそのお金を得るためにはその研究が社会にとって有用であることを示さなければならない、という中では日本の科学力は上がりにくいのは当然のことだと改めて感じた。
こういったテーマで15回授業をされているとのことだったので、東工大の授業に潜って聞きたいなと思うくらい面白い勉強会でした!!!(日本大学法学部1年)

科学研究には言語化できない暗黙知も存在しているという指摘が新鮮だった。我々が現在取り組んでいる科学技術政策では、科学に関することをできる限り客観的な数字で説明しようとする傾向が強い。しかし、数字で評価できない対象が存在するのならば、数字が反映された政策は完全には機能しないことになってしまう。科学が解明できることとできないこと、数字が表すものの本質をとらえたうえで、政策を考えることが求められているのだと思った。(一橋大学法学部1年)

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